今年4月から、新学習指導要領の導入により、小学校(5・6年)での外国語活動が必修化された。勘違いされやすいのだが、あくまで「外国語活動」であり、「英語」ではない。ただ実態はほとんどが英語のようだ。

しかし自分たちのことをかえりみても、実際に仕事や生活で日常的に英語を使うような人はおそらく1%にも満たないのではなかろうか。そんななかで、わざわざ英語が得意でないばかりか、ジャパニーズネイティブの先生の発音による英語授業(しかも先生にとっては負担増?!)に意味があるのか疑問に思う。
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そもそも今回の小学校における外国語活動の目的は、文部科学省の学習指導要領によれば、「外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。」と記されている。

つまり、外国語を知識として学習するためではなく、外国語を通じて異言語や異文化に親しむことであったり、積極的なコミュニケーション力を培うことが導入の目的、ということだろう。そうであれば理解できるし、むしろ賛同する。

であればますます、英語は中学からで据え置くとして(専科の先生もいることだし)、小学校のうちは、韓国語や中国語、あるいはロシア語といった日本のとなりの各国の言語や文化に触れた方が、近隣諸国への理解や友好関係を国民レベルで築く上でも、有効なのではと思う。

というのも、世界を舞台に活躍する人よりも、英語が公用語の会社に入る人よりも、圧倒的に、近所のスーパーや飲み屋や仕事場で、日本でひと稼ぎしようとやってきた近隣諸国の方たちと身近に触れる人が多いと思うからだ。

さらに多様な社会を迎えるこれからの子どもたちにとっては、むしろ近隣諸国の方々との円滑なコミュニケーション力を磨くための「外国語活動」こそが、英語学習以前に必要なことだと考える。
深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。