semi8月。全国的に夏休み真っ只中であるが、皆さん元気にお過ごしだろうか。
学齢の子のいる家庭ではこの一ヶ月強、諸々の苦悩のあることと拝察するが、いかがか。

子らにとってはパラダイスたる夏休みも、親にとっては灼熱の煉獄。食べ盛りの子を抱えた筆者の友人など、まさに先日35度の昼日中、煮え湯の前で9把ものソーメンを次々茹で上げながら、あまりの熱さに卒倒しかけたという。

ふりかえれば熱中症寸前であったかも知れない。猛暑下での火を使った長時間の調理は識者も注意喚起する危なさである。諸氏注意されたい。

それにつけてもいまだ震災の爪あと鋭く、さらなる大雨、台風、余震、猛暑と来ての節電推奨。体調管理は社会人の務めではあるがしかし、「いろんな意味で無理」ということだってある。

やせ我慢をして倒れるくらいならば、28度設定で速やかにエアコンをかけるべきだろう。その際には、ルーバーを水平に固定するといいらしい。25パーセントもの節電になる旨、NHK『あさイチ』で得た知見である。

さて、多くの子らは夏休みは自宅で過ごす。ために、その生活リズムを学校のある状態に合わせたまま、規則正しく保つことは大変に難しい。

大人もちょっと想像してみればわかると思うが「毎日が休み」という解放感、多幸感たるやどれほどのものか。多くの親自身がまた、その身に覚えがあるはずである。

けれど親が就業している家庭においては、夏休みの大半を『学童保育』などで過ごすことになる。通常は、学校の授業終了後から親の帰宅するまでの間を過ごす場(『学童』『児童クラブ』『放課後クラブ』『放課後児童クラブ』等々名称パターンはさまざま)であるが、夏休みなど長期休暇中は午前中、概ね8時半頃から開室し、通常どおり夜まで子どもたちを預かってくれるものだ。

筆者宅でも小学3年生の長子は1年生の頃からお世話になっている。おかげで夏休みといえどほとんど「いつも通り」に起居せざるを得ず、ために辛うじて生活リズムも保たれていて、ありがたい。

そう言うと学齢前の子を持つ働く親御さん、また学童に縁の無い親御さん皆「夏休みの学童ってどういうスケジュールで過ごすところなの?幾らかかるの?」等々興味津々で訊いてくることが多い。

なるほど子が通っていない限り、なかなか窺い知れない施設なのかも知れない。よって今回は一例としてその一日の流れを子にインタビューして記そうと思う。


まず朝であるが、開室は8時半であり、それ以前には鍵が開いていない。親の出勤が早い場合には、この時間まで自宅にいて鍵を閉めて出てくる子もいるという。以後だいたい9時半までの間に三々五々子ども達は登室し、出席確認の後、「学習タイム」となる。

夏休みの宿題のドリルなどは、この時間に競って終わらせることが多いそうだ。家で勉強するのになかなかエンジンがかからないタイプにとっては、ちょっと緊張感が走って集中しやすいらしい。

だいたい1時間ほど座学をしたら、後は「遊び」だ。校庭に出、遊具で遊んだり、鬼ごっこをしたり、本を読んだり、めいめい「勝手になんかして過ごす」らしい。「最近はもっぱら一輪車かな」と脛を青アザだらけにしている長子曰く。これも1時間ほど。その後、手洗いなど支度後、「昼食」の時間となる。

ちなみに、筆者の子の通う公立小併設の児童クラブでは「お弁当、水筒持参」だが、自治体によっては給食様の昼食が提供されるところもあるらしい。働く親にとっては、夏の食中毒が気になる時季に、毎朝お弁当を作ることはかなり荷が重いことだろう。給食があるならそれに越したことはない。筆者は致し方なく、毎日これでもかというほど保冷剤を仕込んで、冷え冷えのお弁当を持たせている。

お弁当を食べたら「掃除」。そうして場を綺麗にしたところで、「お昼寝」の時間となる。ワタシたちもうオヒルネするようなトシじゃないのよーうなどと生意気言う3年生も、案外コロッと寝るのだと指導員の先生は笑うが、実際眠ってしまうものらしい。この「お昼寝」のために、敷布と上掛け用の大判バスタオルは必須の持ち物で、週末毎に持ち帰り洗濯。親としては保育園を髣髴とさせられ、面倒でもどこか微笑ましい。

そうして約2時間、カーテンを閉めきり薄暗くエアコンのかかった部屋で眠った子ども達。15時ごろ起床し、「ラジオ体操」を行う。その後、待望の「おやつ」。

概ねこの時点で、持参した水筒の飲み物は無く、「先生に麦茶足してもらうけど、それも全部飲んじゃう」のだそうだ。

おやつ後は16時からまた「遊び」。17時から夕方の「学習タイム」となるが、だいたい17時ごろから降室が始まる。低学年ではお迎えが主だが、中学年では習い事へ出るなどの「一人帰り」も少なくないという。

筆者宅の長子も17時に単独で児童クラブを出発し、17時10分に自宅マンションのインターホンを鳴らすのが習いだ。そうして焼けて真っ赤な顔で、「ただいまー」とドアを開ける。『学童っ子』の一日はこうして終わる。


愛用のアウトドア用リュックには勉強道具と弁当と水筒とタオル。頭にはキャップ。児童クラブに向かう出で立ちは毎朝「キャンプ?」と見紛うヘビーデューティーだ。その上帰宅後の服は毎日汗と泥にまみれ、膝にはアザ、顔やら腕は日に日に焼けていく。

2時間前におやつを食べたばかりだというのに、たいてい帰宅して直ぐ「お腹空いたからもう夕飯にして!」と騒ぎ、一合もの白飯をペロリと平らげ、昼寝をしているくせに9時半頃にはプチンとスイッチ切れる。そうした姿も日々も、上品に子を育てたい向きにはいささか眉根を寄せてしまいたいそれかも知れないとは思う。

しかしなかなかどうして、所謂「生きる力」の存分に育まれている様子が伺えはしないだろうか。それでいて保育料は、保育園時代に比べて10分の1程度。自治体によっては親の負担ゼロで運営されているところもある。はっきり言って「安い」。


子どもの「夏休みの生活リズム」に不安を感じている親御さん方。こういった施設の活用を念頭に置いてみるのも、一案なのではないだろうか。今からでは間に合わないかもしれないが、来夏なら可能かもしれない。

藤原千秋藤原千秋
大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。おもに住宅、家事まわりを専門とするライター・アドバイザー。著・監修書に『「ゆる家事」のすすめ いつもの家事がどんどんラクになる!』(高橋書店)『二世帯住宅の考え方・作り方・暮らし方』(学研)等。8歳4歳0歳三女の母。