毎年11月下旬の日曜日、各地で「Joulunavaus ヨウルンアヴァウス(クリスマスの始まり)」と呼ばれるイベントが催され、本格的なクリスマスシーズンが始まります。

ヘルシンキでは、大聖堂前の広場でセレモニーが行われ、ラップランドからサンタクロースがやって来て街をパレードします。毎年、沿道には我が子に一目サンタクロースを見せようと集まった人々で賑わいをみせます。
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また同日、中心街にある百貨店「ストックマン」のウィンドウには、毎年恒例の「Jouluikkuna ヨウルイックナ(クリスマスウィンドウ)」と呼ばれる子ども向けのクリスマスディスプレーが初めてお披露目されます。
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子供だけではなく大人も楽しめる大掛かりなディスプレー。小さな子どもたちのためにウィンドウの前には台が設置され、その台に上がって順番に並んで見て行きます。子どもたちの小さな後ろ姿や真剣にディスプレーに見入る姿がなんとも微笑ましい。この「Jouluikkuna」も子どもたちにとってクリスマスの楽しみのひとつです。

クリスマスまでの毎日が楽しみな「アドヴェントカレンダー」

12月1日は「アドヴェントカレンダー」の解禁日。12月1日からクリスマスまでの日付が付いたカレンダーで、1日ひとつずつ窓を開けていきます。中にはチョコレートや小さな玩具が入った豪華なものまであり、「1日ひと窓」を守るのが難しそう。すべて開けたらクリスマス。1日1日楽しみながらクリスマスを待つ、子供たちにとっては重要なクリスマスのイベントのひとつなのです

そして、この時期に欠かせないクリスマスのお菓子と言えば「Piparkakku ピパルカック(ジンジャークッキー)」。星やハート、人の形をしたジンジャークッキーにアイシングで模様をつけたり、穴を開けてクリスマスツリーの飾りにしたり。冷凍された生地が売っているので、忙しいお母さんも簡単に作れます。またベリージュースにスパイスが入った「グロギ」と呼ばれるホットドリンクも欠かせません。寒い季節に外遊びから帰って来た子供たちを温める優しい飲み物。どちらも子供たちが大好きなクリスマスのお菓子と飲み物です。
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ツリーの飾りつけはイブから翌1月6日まで

クリスマスツリーの飾りつけは意外にもクリスマスイブの朝に行われます。毎年使える作り物のツリーを飾る家も多いですが、依然として天然のツリーにこだわる家庭も多いのはさすが森林王国フィンランドならでは。ツリーは1月6日の『Loppiainen ロッピアイネン(公現祭)』まで飾られます。

ツリーの飾り付けが済むとその下にプレゼントを並べます。子供たちは今すぐ開けたい気持ちを抑えつつ、サウナに入って体を清めたり、遊んだり、またはお手伝いをしたりなどそれぞれの時間を過ごします。プレゼントを開けるのはまだ先、クリスマスディーナーの後です。気もそぞろでディナーを済ませ、やっとプレゼントを開ける時間。子供たちにとって一番心待ちにした時間ではないでしょうか。

また、サンタクロースがやって来て直接プレゼントを渡す家庭もあります。フィンランドでは日本のように子供が寝ている間に煙突から忍び込むのではなく、子供が起きている時間に堂々とドアから入って来るのです。起きたら枕元にプレゼントがあるのも嬉しいですが、直接サンタクロースからもらえるなんてちょっと羨ましいですよね。

極め付きは「出張サンタクロース」

最後に、サンタクロースと言えばこんなのもあります。それが、「出張サンタクロース」。やはりクリスマスに欠かせないのがサンタクロース。このシーズンになると新聞やスーパーの掲示板に「出張サンタクロース」の広告をよく見かけます。
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方々で開かれるクリスマスパーティーに呼ばれたり、クリスマスイブに各家庭を廻ったりと忙しいサンタクロースたち。クリスマスイブ当日にはフィンランド全土に多くのサンタクロースが出没し、サンタに遭遇する確率が高まります。ちなみに昨年は車で移動をするリアルなサンタクロースを目撃しました。今年も出会えるか楽しみ。あとは雪があれば完璧なクリスマスです。

それではみなさん、素敵なクリスマスを! Hyvaa joulua!




中村雅子中村雅子
北欧デザインに魅せられ、2004年に渡芬。2007年、日本人の夫と共に日本のデザインプロダクトを販売する店「common」をオープン。また、フィンランドデザイン・雑貨を販売するウェブショップ「カウッパトリ」を運営。最近活動的になり始めた息子に振り回されつつ、フィンランドでの子育てを満喫している。家族は夫と2010年生まれの息子。ヘルシンキ在住。