昨年9月13日に発生した、大分県日出町のスーパーに母親と一緒に車で買い物に来ていた2歳女児が、同スーパーの駐車場から姿を消したという行方不明事件。5ヵ月近くたった昨夜に大分県警が、被害女児の母親を死体遺棄容疑で逮捕したという報道が衝撃を呼んだ。

ちなみに事件当時の報道によると、母親は駐車場に止めた車に子どもを残してスーパーで買い物をしていたが、5分ほどして車に戻ってきたところ、すでにいなくなっており、警察に通報したという。またその後、被害女児は足が不自由で1人で歩くことが困難であったことも報じていた。
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▲大分県警による捜査協力依頼

現時点では死体遺棄容疑による逮捕であるが、事件直後からネットでは、暗に母親の犯行を疑う声が端々に見られていた。
  • 3分でいなくなってるんでしょう? 自分では歩けないみたいだし誰かにずっと狙われていたか、はたまた母親か・・・。(2011/9/14)

  • とても狭い街。二歳児といえば一番手がかかる時期で、人見知りもスゴイ。白昼、車から他人が連れ去るには無理があると思う。(2011/9/14)

  • 歩けないし、言葉も喋れない。育てるの嫌になって・・・って事だったら悲しい。(2011/9/14)

  • チャイルドシートから安全ベルト外すのも、子供の頭を車にぶつけないように気をつけるのもおっかなびっくり。ある程度慣れてる人じゃないと5分で実行って無理な気がする。(2011/9/15)

  • 軽微な障害でも母親って過剰に反応して悲観する事が多い。(2011/9/15)

いずれにしてもこうしたコメントの数々は限られた報道をもとにした憶測にすぎず、もし今後「事件の真相が明らかに」なったとしても、おそらく警察による供述調書をもとにした内容でしかなく、事件の裁判を傍聴する以外、母親とこの家族に起きた悲劇の過程と葛藤にせまることはないだろう。
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折しもこの速報が流れた同日、横浜では「子ども虐待防止シンポジウム」が行われたというニュースがあった。その報道によると、全国の児童相談所に寄せられる児童虐待の相談件数は、去年3月までの1年間で初めて5万件を超えたそうだ。

シンポジウムを主催したNPO法人「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」の山田不二子代表は、「個人情報保護を理由に、現在も、医療機関、児童相談所、警察が関連情報の共有を進めていない。『何よりも子どもの命が優先』という共通認識を作りたい」と力強く訴えていた。

まさに強く同意するものであり、とくにこうした子どもに対する居たたまれない事件が繰り返されるたび、「子どもの命」の尊厳のため、何より虐待事件の加害者が加害者に至る以前に、母親と父親だけでなく、社会全体があらゆる子どもと子育てを支える寛容性を備えることが必要だと痛感する。


深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。