3月6日にダイヤモンド・オンラインに掲載された記事、「子育て世帯の半数以上が『生活にゆとりない』 経済的・精神的に子育てしづらい悲惨な日本の現状」が話題になっている。

記事では、厚労省が所管する独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が実施した、「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査」の結果の経年変化について触れている。

生活にゆとりを感じているのかについての調査(調査期間:2011年10~12月)では、生活ぶりについて「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた世帯の割合が、5年前と比較して、「ふたり親世帯」(27.9%⇒45.0%)、「父子世帯」で(32.1%⇒48.8%)、「母子世帯」で(52.9%⇒69.9%)と悪化している、という。

image
この記事が子育て世代を中心に拡散している。

・ゆとりなんてありません

・扶養控除も廃止だし…

・お金がある程度稼げて、時間に余裕があれば何人でも子供ほしいけど

・まさに政策的に手当てが必要なテーマだけど、関心持たれないよねえ

・心にゆとりのない親に育てられた子供は、もっとゆとりのない大人になる

・この現状が改善されないと、少子化の傾向は加速されるだけ


という悲観的なコメントであふれている。

調査の出典元を確認してみたところ、「生活にゆとりない」と感じる回答は、世帯年収との相関ではないところがポイントであると感じた。実際、保護者が望む支援として、国には「保育園・学童保育の拡充」、会社には「就業時間の配慮」を望む声が強く、多くの保護者は直接的な支援ではなく、公的保育サービスなどによる間接支援を求めているのだ。

折しも先日厚労省は、改めて申請が必要となった昨年10月分以降の子ども手当が、2月末時点において対象者の3.6%が未申請であることを発表したばかりだ。今月末までに申請しなければ数十万人が受給漏れとなる見込みだという。

決して「生活にゆとりが欲しい」ことを求めているわけではない。せめて子育て支援における需要と供給の乖離を解消しない限り、「生活にゆとりない」というマイナス感情は消えないだろう。

子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査【PDF】:労働政策研究・研修機構


深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。