3月12日付けのニューヨークタイムズ紙に掲載された、“ ノンフィクションカリキュラムが読解力を向上させたと調査結果(Nonfiction Curriculum Enhanced Reading Skills, Study Finds)”という見出しの記事が、全米で最も教育熱心といわれているニューヨークの保護者の注目を集めている。

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Core Knowledge Foundationのスクリーンショットより

記事によると、Core Knowledge Foundationが開発したノンフィクション重視の国語カリキュラムをニューヨーク市が一部の小学校に試験導入したところ、その学校の生徒は、従来型カリキュラムの生徒に比べて、読解力のテストの得点が著しく高かっただけでなく、理科や社会科のテストでも好成績をおさめたという。
このカリキュラムの最大の特徴は、科学や歴史を題材にしたノンフィクションを国語の教材に取り入れ、内容を理解するための背景知識や語彙力を身につけることを目的にしていること。

同市が2002年に導入したBalanced Literacyという従来型カリキュラム(=物語など生徒に好きなテキストを読ませる、読書そのものを重視した教育法)とは異なる発想だが、試験結果を受けて、教育委員会幹部が、「他の学校の校長にとっても、考慮すべき有力な選択肢だ」とコメント。今後、さらに多くの学校が、ノンフィクション重視の国語教育を取り入れることになりそうだ。

ニューヨークだけでなく、全米各地でこうした新しいカリキュラムが試行されている背景に、昨年ほとんどの州に採用された、新しい統一教育基準“Common Core State Standards”がある。

従来、アメリカには日本の学習指導要領のような全国共通基準がなかったが、学力低下を食い止めるための教育改革の一環として、preschool(幼稚園)からK12(高校3年生)までの各学年で、国語と算数・数学の分野において、習得しておくべき基準を統一したものだ。

今、アメリカでは、この基準を満たすための新しいカリキュラム作成に教育産業や各種団体がしのぎを削っており、学校教育の現場では、これまでと全く異なる授業を行わなければいけないのではないかと、教師たちに不安と混乱が広がりつつある。

そもそも、今回、“従来型”とされたBalanced Literacyだって、それまでの教育法に替わる新しいカリキュラムとして、1990年代後半に登場したもの。それから10数年で、また新しいカリキュラムが取って替わろうとする教育現場は、まさに“振り子”のように大揺れである。

日本でも、詰め込みだ、ゆとり教育だと、教育行政が振り子のごとく揺れてきた歴史がある。ニューヨークタイムズの報道を読んで、ノンフィクション重視のカリキュラムに保護者として興味を覚えた一方、振り子行政によって、教育の現場、なにより子どもたちが混乱の犠牲になってはならないと感じた。


恩田 和(Nagomi Onda)恩田 和(Nagomi Onda)
全国紙記者、アメリカ大学院留学、鉄道会社広報を経て、2010年に長女を出産。国内外の出産、育児、教育分野の取材を主に手掛ける。2012年5月、南アフリカのヨハネスブルグに移住予定。アフリカで子育て、取材活動を満喫します!