厚生労働省が今年になって、「子宮頸がん予防用ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」と、「インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン」、「小児用肺炎球菌ワクチン」の3種のワクチンを、2013年度より公費負担の定期接種化するという方針を決定した。
そもそも上記3つのワクチンについては、2010年度から緊急事業として公的接種が実施されていたが、正式に定期接種化することで、恒久的に公費負担での接種が可能になる。
昨年にはようやく、日本にもポリオの不活化ワクチンが導入されるなど、少しずつ改善されているとはいえ、諸外国と比較すれば、残念ながら途上国並みとも言われるのが、日本のワクチン行政である。
参考までに、アメリカ小児科学会が発表した2013年版のワクチン接種スケジュールを紹介したい。
……とまあ、こんな具合に、生後すぐから1歳の誕生日まで、スケジュールがびっしり! 日本では任意接種(費用は個人負担)であるA型、B型肝炎や水疱瘡、ロタなどもカバーされている。これらの推奨されているすべてのワクチンを、すべての子どもが無料もしくは安価で受けられるのだ。
アメリカでは、この過密スケジュールをこなすため、多少の発熱でも構わず接種したり、同日に3種類、4種類の同時接種も当たり前のように行われている。上記のワクチンすべてを受けていないと幼稚園や小学校への入学が許可されないこともあるほど、厳格である。
ただ一方で、最新の調査によると、アメリカの保護者の21%が、これらすべて、もしくは一部のワクチン接種をスケジュール通りに行っていない、もしくは受けていないことも判明した。情報不足から、必要とされているワクチンを子どもに受けさせない保護者が社会問題化している。
筆者が、子どもが生まれて最初にぶちあたった壁が、このワクチン接種のスケジュールであった。頭でっかちだった新米ママは、当時まだ任意だったHib(ヒブ)や肺炎球菌はもちろん、B型肝炎まで受けさせようと、生まれた直後からカレンダーとにらめっこしながらスケジューリングを開始。
接種予定日に熱でも出された日には、その後のスケジュールが狂ってパニック! ポリオも生ワクチンは避けたくて、ワクチンの情報を求めてネットの世界をさまよい、高価なヨーロッパからの輸入ワクチンを受けさせ、法外な請求書に頭を抱えたりしたものだ。
そこまでする必要があったのか、今なら冷静に振り返られるが、とにかく、当時は日本のワクチン行政の遅れに焦りを感じ、「私がしっかりしなければ!」と力んでいたのは間違いなかった。
どのワクチンを、どこまで受けさせるか。
いずれにしても、しっかり情報収集した上で、冷静に判断し、必要なワクチンを子どもに接種させてやるのが、親の務めだし、そうしたワクチンを公費負担の定期接種にすることが、行政の務めだと思う。
そもそも上記3つのワクチンについては、2010年度から緊急事業として公的接種が実施されていたが、正式に定期接種化することで、恒久的に公費負担での接種が可能になる。
昨年にはようやく、日本にもポリオの不活化ワクチンが導入されるなど、少しずつ改善されているとはいえ、諸外国と比較すれば、残念ながら途上国並みとも言われるのが、日本のワクチン行政である。
参考までに、アメリカ小児科学会が発表した2013年版のワクチン接種スケジュールを紹介したい。
米国の0~12ヵ月児向けワクチン接種スケジュール:2013年版
■新生児:【B型肝炎(Hepatitis B)】
■1ヵ月:【B型肝炎(2回目を1~2ヵ月の間に)】
■2ヵ月:【ロタウイルス(Rotavirus)】【3種混合-ジフテリア・百日咳・破傷風(Triple Vaccine - diphtheria, Tetanus and acellular pertussis=DTaP)】【インフルエンザ菌b型(Hib)】【肺炎球菌(Pneumococcal Conjugate)】【ポリオ不活化(Inactivated Poliovirus)】
■4ヵ月:【ロタウイルス(2回目)】【3種混合-ジフテリア・百日咳・破傷風(2回目)】【インフルエンザ菌b型(2回目)】【肺炎球菌(2回目)】【ポリオ不活化(2回目)】
■6ヵ月:【B型肝炎(3回目を6~18ヵ月までに)】【ロタウイルス(3回目)】【3種混合-ジフテリア・百日咳・破傷風(3回目)】【インフルエンザ菌b型(3回目、12ヵ月まで打たなくても可)】【肺炎球菌(3回目)】【ポリオ不活化(3回目を6~18か月の間に)】【インフルエンザ(6ヵ月を過ぎると毎年2回ずつの接種を推奨)】
■12ヵ月:【インフルエンザ菌b型(15ヵ月までに3回目もしくは4回目)】【肺炎球菌(15ヵ月までに4回目)】【はしか/おたふく風邪/風疹の3種混合( measles-mumps-rubella=MMR)】【水疱瘡(Varicella)】【A型肝炎(Hepatitis A =HepA)】
……とまあ、こんな具合に、生後すぐから1歳の誕生日まで、スケジュールがびっしり! 日本では任意接種(費用は個人負担)であるA型、B型肝炎や水疱瘡、ロタなどもカバーされている。これらの推奨されているすべてのワクチンを、すべての子どもが無料もしくは安価で受けられるのだ。
アメリカでは、この過密スケジュールをこなすため、多少の発熱でも構わず接種したり、同日に3種類、4種類の同時接種も当たり前のように行われている。上記のワクチンすべてを受けていないと幼稚園や小学校への入学が許可されないこともあるほど、厳格である。
ただ一方で、最新の調査によると、アメリカの保護者の21%が、これらすべて、もしくは一部のワクチン接種をスケジュール通りに行っていない、もしくは受けていないことも判明した。情報不足から、必要とされているワクチンを子どもに受けさせない保護者が社会問題化している。
筆者が、子どもが生まれて最初にぶちあたった壁が、このワクチン接種のスケジュールであった。頭でっかちだった新米ママは、当時まだ任意だったHib(ヒブ)や肺炎球菌はもちろん、B型肝炎まで受けさせようと、生まれた直後からカレンダーとにらめっこしながらスケジューリングを開始。
接種予定日に熱でも出された日には、その後のスケジュールが狂ってパニック! ポリオも生ワクチンは避けたくて、ワクチンの情報を求めてネットの世界をさまよい、高価なヨーロッパからの輸入ワクチンを受けさせ、法外な請求書に頭を抱えたりしたものだ。
そこまでする必要があったのか、今なら冷静に振り返られるが、とにかく、当時は日本のワクチン行政の遅れに焦りを感じ、「私がしっかりしなければ!」と力んでいたのは間違いなかった。
どのワクチンを、どこまで受けさせるか。
いずれにしても、しっかり情報収集した上で、冷静に判断し、必要なワクチンを子どもに接種させてやるのが、親の務めだし、そうしたワクチンを公費負担の定期接種にすることが、行政の務めだと思う。
![]() | 恩田 和(Nagomi Onda) 全国紙記者、アメリカ大学院留学、鉄道会社広報を経て、2010年に長女を出産。国内外の出産、育児、教育分野の取材を主に手掛ける。2012年5月より南アフリカのヨハネスブルグに在住。アフリカで子育て、取材活動を満喫します! |
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