産後間もないある日、娘を抱いていると魚のような生臭い匂いがした。
変だな、でも気のせいかなとやり過ごしていたら、夫からも「今日、○○(娘の名前)から魚の匂いがする……」と。

娘の顔に鼻を近づけてみると、やっぱり魚の匂い。もしやと思って手を匂ってみると、娘の息と同じような魚の匂いだった。

しょっちゅう手をしゃぶっているので、手についた匂いの元は唾液だと推測。母乳とたまに粉ミルクしか飲んでいないのに、なぜ?

ハっと気付いたが、前日の夕食に食べた鯖の煮付け。その日の昼にも食べた。
食べたもので母乳の味が変わると聞いたことがあるけど、こんなに顕著にあらわれるのか?

数日後、産院に行く機会があり、助産師にこのことを相談してみた。
「味はたしかに変わるというけど、母乳そのものを比べて味の違いが分かるほどではないはず。でも、青魚はカラダにいいし、お肉より摂ってほしいから、気にしないでいいよ」と、何だか肩透かしをくらうような回答をもらってしまった。


その後も、「母乳 味 変わる」などでひたすら調べてみたところ、たしかに食べたもので母乳の味は変わるらしい。甘いものをよく食べていると母乳が甘くなる……しかし母乳が詰まりやすいと言われている。

産後はクリスマスや自分の誕生日があって何度もケーキを食べていたし、片手で食べられるからと、もらいもののお菓子によく手を出していた。
……って私が今知りたいのはこれじゃなかった。

「Yahoo!知恵袋」を逡巡すると、「魚をよく食べていたとき子どもの口が生臭かった。特に鯖や鮭」と、ドンピシャなくだりを見つけた。やっぱりそういうことがあるんだ!
同様に、「天ぷらを食べた後は母乳が脂っぽくなりました」という声も挙げられていた。……天ぷらも食べたな。

さらに、「母乳の質」などで検索すると、桶谷式では母乳の質を悪くするものとして青魚が挙げられていて、同じ魚でも白身が推奨されているらしい。

そして、そっとブラウザを閉じたくなった……。

しかし、「和食オンリーにしたり大好きな甘いものを我慢したりと、かなりストレスを感じていたが、それでも赤ちゃんが母乳を飲んでくれなかった。そのため、気にしないで好きなように食べるようになってからのほうが母乳を良く飲んでくれるようになった」という回答を発見し、私が求めていたものはこれだ!と目が輝いた。

何事も、程度の問題だろう。
(だが、バランスよく食べて母乳の味が変わることで、子どもの味覚が発達するという説もあるようだ)


いやいや、鯖を食べた日も娘は嫌がらずに母乳を飲んでいたし、神経質にならないのが一番だよね!と急に開き直ってしまった。

そもそも私は青魚が好きなので、今後も気にしないで食べようと思うが、また娘から青魚の匂いがするのかと躊躇し、スーパーの鮮魚コーナーでは白身魚に手が伸びた。……しかし、結局安いので青魚を選んでしまい、この原稿を書いている日も、昼食は鯖。

そしてまだ、娘から鯖の匂いはしていない。


真貝 友香(しんがい ゆか)真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。