「もう、なんで次から次へと汚すの?!」

家族に向かって、子どもに向かって。「キー!!!」って皆さん言いませんか? 言ってませんか? 

筆者は毎日のように言ってます! まあ言えているうちは大丈夫。それでも。
掃除機をガガガと引っ張ってきて「全部吸っちゃうよっ!!!」。そうそう、そう言える元気があるうちは良いんです。それでも。

まずいのは、気力がなくなってしまったとき。
いつも住まいの掃除を担っているあなたの、「何はともあれ掃除する」という気持ち、モチベーションが費えてしまった、その後が問題なのです。


そこは「汚家(おうち)」の玄関先、遠からず「汚リビング」「汚ソファー」でポテチなんかを喰い散らかしながら、あなたはこう毒づいていることでしょう。……「なんで私ばっかり掃除掃除って、目を三角にしてなきゃなんないのよ!」「もう掃除なんて止めた。皆、困ればいい!」そうして、どんどん汚れていくのです。

実は筆者が、実家で親と暮らしていた頃の自室の呼ばれようは「ゴミタメ」。酷い! でも実際、酷かった! それでも家庭を持ち子どもを育て、ちょっとずつちょっとずつ頑張って獲得した、掃除技術とモチベーションで家族のために掃除をしているわけです。

毎日毎日やるべきことはある、やらなければならないことがある。その重圧自体は、まあストレスになりますが、だから「ブルー(憂鬱)」になるというほど単純ではありません。そこに至るにはもう一段階、やるべきなのに(やれず)溜めてしまった「自責の念」が加わります。だから、当サイトでもお伝えした「おそうじブルー」を回避するためには、「掃除を溜めない」ことが何より肝要なのです。

ここで提案です。
「家族のために頑張って」きたその清い心を、一度真っ黒に染めてしまいませんか。良き妻良き母でありたい前向きな思いを、敢えて後ろ向きに。悪い妻悪い母に?!

ポイントは掃除を「溜めない」というキーワード。ほら、逆に「貯めた」方がいいものってあるじゃないですか……「お金」。そう、お金を貯めるコツの逆張りで、掃除を溜めないようにするのです。

ちょい悪イタズラテイストで、遊び心を加えて。平素の鬱憤晴らしにも、実践的「ブラックおそうじ」術。お試しいかがでしょう。

ブラック「無駄遣い」おそうじ……一見役に立たなそうな掃除を頑張ってしまいましょう!


普段掃除をしない人、掃除をする気がない人に掃除を頼むと、たいがいどうでもいい場所ばっかり手をつけるものです。掃除の何たるかを分かっている人がそれを目にすると腹が立ちますね。時間の無駄! 意味がない! そんな掃除が即ち「無駄遣いおそうじ」です。

しかし、こういう一見意味の無さそうな場所って、案外掃除の「盲点」を突いていたりすることってご存知でしたか? 王道ではないが故の邪な道、しかしそんな裏道すらも汚れているのが人の住む家というもの。やる気のない家族にもためらわず、雑巾やモップなどの掃除用具を与えましょう。そして心行くまで、普段は無駄と思っていた場所を拭いてもらいつつ、共におそうじしましょう。

ブラック「無計画買い」おそうじ……掃除時間は決めず何時も何度でも掃除をしてしまいましょう!


節約道的に、食材などの買い物は「まとめ買い」が鉄則です。「ちょこちょこ買い」「無計画買い」は費やす時間的にも、ガソリン代などのエネルギー的にも無駄! 愚か! と一刀両断されるのが通説。でも敢えて「まとめない」。そんな掃除が「ちょこちょこおそうじ」。

出勤前とか、帰宅後とか、土曜の午前とかそういうふうに掃除時間をきちんと決めません。掃除機のような「大物」を敢えて導入しないというのもコツです。夜中に思い立ってもうるさくて掃除できないですから。刹那的な買い物は家計を不安に陥れますが、「無計画おそうじ」なら、大した害がないので、それもまた良しですね。

ブラック「お遣い」おそうじ……家族を(こき)使ってお掃除しちゃいましょう!


「帰りに牛乳買ってきて!」なんて頼むたびに、家族はいつものより高いやつを買ってくるのは何故。貯金の妨げになりかねないそんな「お遣い」を、溜めないお掃除にも逆に活かしてしまいませんか。

その「お遣い」は、頼まれる当人が一番汚すところ・口うるさく言う箇所にすると効果大。例えばトイレの便座を上げるたび「ちょっと」と苦情を言い出した時がチャンス! その本人に掃除させ、汚れの原因を思い知らせて、汚れを溜まらなくさせるのです。

ブラック「外食」おそうじ……いよいよ嫌になったら外注しちゃいましょう!


適当に卵を焼くのは難しいことではありませんが、「洋食屋さんのオムレツ」っていうのは格別だったりしますよね。家の掃除なんて適当にやってもたかが知れてるといえばそうですが、一度プロに委ねてみればその仕上がりの違いに仰天必至。ブラックと言いながら全くの正攻法、「外食おそうじ」は即ち「外注おそうじ」です。

「触るのも嫌」なベトベトの換気扇も、「何が居るか分からない」排水溝のドロドロも。手軽な汚れから魑魅魍魎の世界まで、住まいのプロの守備範囲は広く深いものです。行き詰まったら潔く「よろしく!」と汚れを手渡してしまいましょう。心のモヤも住まいの芥も、一気に晴れること必定ですよ。

藤原千秋藤原千秋
大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。おもに住宅、家事まわりを専門とするライター・アドバイザー。著・監修書に『「ゆる家事」のすすめ いつもの家事がどんどんラクになる!』(高橋書店)『二世帯住宅の考え方・作り方・暮らし方』(学研)等。10歳6歳2歳三女の母。