全国各地での梅雨明けとともに猛暑が続き、熱中症への注意が呼び掛けられている。消防庁の情報では、昨年7~9月の間で7歳未満の子ども372人が熱中症により緊急搬送されたという。

消費者庁が発信している「子ども安全メール」でも、熱中症予防のため、「こまめに水分補給・休憩をとる」「外出時は、体をしめつけない涼しい服装を心掛け、帽子などで日よけ対策をとる」「子どもの様子に変化がないか、十分に観察する」の3点を訴えている。



しかしながら、トレンド総研のレポートによると、「ベビーカーで熱中症対策をする」と答えた母親はわずか14%に過ぎず、ベビーカーにおける熱中症対策についての理解が浸透していないことが明らかになった。

同レポートでは、ベビーカーの熱中症対策のポイントとして、「日よけの機能」、「通気性」、「シートの高さ」、「洗濯のしやすさ」をあげているが、これらはベビーカー選びのポイントとしては、あまり重視されていない項目である。

たとえばベビーカーの「シートの高さ」については、ベビー用品メーカー・アップリカの「真夏日のベビーカーの表面温度」についての調査によると、38.1度Cの真夏日に計測した場合、シート高38cmの一般的なベビーカーでは表面温度は40.1度Cであったのに対して、シート高50cmのベビーカーでは38.4度Cであった。

「シートの高さ」が12cm異なることで、ベビーカーの受ける熱がおよそ2度C分軽減できるのだ。ちなみにこの差は、地面からの照り返しによる輻射熱(ふくしゃねつ)に起因しており、その影響は地面からの距離の2乗に反比例するという。

さらに「通気性」については、シートの裏側に通気孔を採用していたり、ベビーカーのクッション素材に通気性の良いものを使用していることも、重要なポイントであるとしている。

ベビーカー選びにおいては、「扱いやすさ」や「丈夫さ」「軽さ」といった点に注目しがちだが、夏場の快適なお出かけのためにも、「シートの高さ」「通気性」といった熱中症対策についても、同じように留意したほうがよいだろう。