華麗なる「駐妻」時代の終焉 海外赴任「帯同せず」が過半のワケ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130702/250509/
を興味深く読ませてもらった。

筆者は駐妻歴8年(上海→ムンバイ→デリー)のちょっとしたベテランだが、帯同しないのが過半数とはちょっとびっくり。

記事では、「子どもの教育」と「自分の仕事の都合」「世帯収入が減る」が、理由として挙げられ、中でも世帯収入の減少について掘り下げられていた。会社によるけれど、大抵は家賃、海外医療費、教育費は会社が負担、または補助してくれて、現地通貨にもよるが、生活費も少しは抑えられるはず。

現在の我が家は日本であれば欠陥住宅扱いになりそうなボロ造りに加えて、1日に何度も停電するが、日本の家よりも広くて周囲も騒音に寛大なので、ある意味恵まれた住居だ。

医療費は保険により、ほぼ無料。外を歩くのは危険なので、運転手付きの車まである。さらに、安い給料でメイドも雇って家事も育児もラクできるので、駐妻生活はパラダイス!と感じるほどである。そもそも金銭的にこれらの負担や補助があれば、ざっと計算しても妻の収入分くらいにはなるはずだ。

ただ、前述した記事にもあるように、これらは一時的なものであるから、復職を心配して「世帯収入が減る」との回答なのだろうけれど、そこで会社に復職手当や長期休暇を望んで3年後に復職しても、社会の時間の進みと駐妻の時間の進みではタイムラグがありすぎて、浦島太郎状態になるのがオチだと思うのだけれど、どうなのかしら?

復職が難しそうであれば、その間にいっそのこと勉強してスキルアップするにはもってこいの時間だということを、お伝えしたい。家賃+医療費+学費が補助されていて、子どもを看てくれるメイドまでいる環境で、勉強できるなんてめったにないチャンス。

海外で仕入れた情報や知識をもとに、何かしらのスペシャリストになれるかもしれないし、そこから新しい世界が広がるかもしれない。駐妻友だちの中には、実際、マッサージを勉強して看護師としてスキルアップをしたり、英語に加えてフランス語まで勉強して復職した人もいる。

私は中国駐在時に漢方を学び、インド駐在時にはアーユルベーダを学んだ。特記するほどたいしたことではなく、それぞれの専門家と胸を張れるほどではないが、もともと持っていた管理栄養士の国家資格に加えて、さらに見識が広まり、仕事の幅が広がったと思っている。

授業だけではなく、スーパーや友だち付き合い、メイドからなど、現地に住んでいれば学べることは無限大。

今後は日本の家庭料理を世界に広める「日本食伝道師」になりたいと夢は広がる。日本にいただけでは、ここまで見聞が広められなかったと思うので、最初は嫌った駐在生活ではあったが、今では心底感謝している。

私は細々と仕事もしている。元記事にもあるように、現地では働けないが、インターネットも普及している今、海外にいても日本と仕事ができる。ありがたい時代だ。

現在住んでいるインドのみならず、短期滞在先であるタイやシンガポールのサービスアパートでも、家でやることと変わらず仕事をしている。どこでも仕事をする、いわゆるノマド生活。

リゾート地のプールサイドでも、ホテルの豪華な食事を堪能する時も、原稿案やレシピ案を考えてしまう自分が、時々「職業病だな」と悲しくなることもあるけど、こんな生活も悪くない。

時々は、駐妻として本業?の、「ランチ&アフタヌーンティー」や「趣味のサークル」にも参加して、優雅な時間も満喫できたら最高だと思う。

夫に「オレ、転勤決まった」と言われたら、「これはチャンス到来!」と思って、新しい世界に飛び出して欲しい。

実はさまざまなスキルをもっている駐妻たちの集まりは、見ようによっては異業種交流会のようなものだ。話のネタを考えれば、人生やビジネスのいいヒントが得られるはず。

駐妻ノマド仲間、お待ちしております。

【関連アーカイブ】「駐妻」たちのリアルライフ
http://mamapicks.jp/archives/52121136.html

川口 由美子川口 由美子
ライター、管理栄養士。著書「アレルギーっ子の簡単毎日レシピ100(青春出版社)」の他、雑誌やWEBで離乳食や幼児食などの家庭的レシピを紹介。All About「離乳食」等ガイド。夫の転勤に伴いアジアを転々としながら現地人に根付くアーユルベーダや漢方などを学ぶ。個人事務所「Food-Medi」を運営。9歳娘と3歳息子の母。