7年ぶりの熱波が英国を襲い、「今夏最も暑い日」と言われた7月22日午後4時24分、世界のメディアや王室ファンたちの熱狂の中、ついにキャサリン妃がロイヤルベビーを出産した。
( http://www.dailymail.co.uk/news/article-2374032/Royal-baby-Duchess-Cambridge-gives-birth-healthy-boy-future-King-proud-Prince-William-side.html )

世間の多くの予想を覆し、新王子の誕生である!
(英国大衆紙「サン」のロゴが、"The Sun"から"The Son"になっているのは彼らなりのお祝いムードの模様 ⇒http://www.thesun.co.uk/sol/homepage/)



ウィリアム王子とキャサリン妃(以下、愛称ケイト)は、出産前のベビーの性別診断を断っていたため、英国ではロイヤルベビーの名付け(性別)や髪の色、出生時体重に至るまでが国民的賭けの対象となって、歴史的大騒ぎになっていた。

妊娠初期にケイトが重いつわりで入院したという事実から、「重いつわりは女児の証拠」というナゾの憶測が広く伝わり、大方の世間は「プリンセス」が産まれてくると信じていたほど。

名付けの賭けでは「アレクサンドラ」という女子の名前が一番人気になっていたが、男子名では歴代英国王としても典型的な「ジェームス」や「ジョージ」、「ヘンリー」が人気。実際、新王子にどのような名前が付けられるのか、その行方にも熱い注目が集まっている。

予定日を一週間過ぎての出産ということで、ベビーがかなり成長しているのではないかと危惧されていたが、3,800グラムは英国では充分に平均的。しかし出産前は178センチ54キロで、服のサイズは英国XXS、「隣に立ったハリウッド女優が不機嫌になる」と言われたくらい細身のケイトが出産したことを考えると、日本人なのに英国Sサイズで安産お墨付きの筆者は、ケイトのグッジョブぶりに胸熱である。

ケイト本人は完全な自然分娩を望んでいたが、最終的に彼女の医療チームによって陣痛促進剤が使われたのかどうかなど、出産の詳細な経緯はまだ明らかとなっていない。

また、ケイトが選択したとして事前に話題となっていた、「催眠出産」がどのように進められたのかも興味のあるところ。無痛分娩が主流の欧米にありながら、麻酔を使わずに自然分娩するための「催眠」ということで、耳目を集めた。

自律訓練法に似た自己催眠や、呼吸法などで痛みを軽減する手法と紹介されていたが、日本で広く行われる呼吸法を取り入れた自然分娩とそれほど変わらないようにも思われ、「ナチュラル」が支持される欧米の傾向が出産のトレンドにも強く反映されているのを感じる。

もうひとつ、英国王室初と言われる、ウィリアム王子の2週間の育休取得も、現代らしい話題だ。英国空軍からは育休中も週給約2万1,000円が満額支払われるそうだが、それにしてもいずれ英国王となるウィリアム王子の、この「フツーっぽさ」が同世代の支持を集めていることは間違いない。

とはいえ、新王子はチャールズ皇太子、ウィリアム王子に次いで王位継承権第3位となる。世界中の注目を集め、当然パパラッチの標的ともなる男の子に、いかにしてフツーの、子どもらしい暮らしを送らせてあげるか、ウィリアムとケイトは住まいである西ロンドンのケンジントン宮殿を中心に、あの手この手で頭を悩ませそうである。
( http://www.guardian.co.uk/uk-news/2013/jul/22/royal-baby-upbringing-monarchy-challenges-choices )

ケイトは、新生児と一緒にパディントンのセントメリー病院で通常の分娩手続き通り一晩を過ごした後、退院すると見られている。記録的な熱波の中ではあるが、一瞬でいいから新王子の後ろ姿だけでも世界に見せてあげてほしい。ケイトと新王子の姿を拝んだら、病院前に2週間も陣取ってテントを張っている高齢の王室ファンたちも、やっと安心してテントを畳んで田舎に帰れるから……。

河崎環河崎環
コラムニスト。子育て系人気サイト運営・執筆後、教育・家族問題、父親の育児参加、世界の子育て文化から商品デザイン・書籍評論まで多彩な執筆を続けており、エッセイや子育て相談にも定評がある。家族とともに欧州2ヵ国の駐在経験。