夏休みになると、幼稚園児の母たちは「毎日しんどいねー」が挨拶代わりになる。子どもが朝から晩まで家にいることが、結構「しんどい」。普段、日中の半分くらい子どもが幼稚園に行っているだけで、親はものすごく助かるのだ。
そんな感覚から一転、私はこの夏、初めて違う経験をしている。息子が小学生になって4月から学童クラブ(=学童保育所、以下「学童」)に入ったからだ。区の学童では、保護者が仕事をしている小学生(1~3年生)を放課後保育してくれる。夏休みは弁当持参で、朝から夕方までみてもらえる。

保育園から学童に移行すると、保育園より保育時間が短い点をどうクリアするか、という問題、いわゆる「小1の壁」にぶつかるそうだ。
私の場合、学童では少数派の幼稚園上がり。育児7年目にして遅まきながら「預かり保育デビュー」したので、逆にもう、ただひたすら助かる。
それまで、仕事は自宅でなので、幼稚園の短い保育時間をフル活用し、睡眠時間を削ってしのいでいた。でも、在宅でのこういう仕事の仕方はかなりきつく、夏休みなんて途方にくれる。だから、日中まともな時間帯にずっと仕事ができるなんて夢のようで、ありがたくて仕方ない。
学童では1~3年生が一緒に過ごす。3年生が1年生の面倒をよくみてくれて、兄弟姉妹のような環境が自然にできる。夏休み中は、宿題をして、学校のプールに行って、お弁当を食べて、遊んだり製作をしたりおやつを食べたり……。
その中で、自分の意見が通らなかったり、ゲームに負けてくやしい思いをしたり、皆の前で発表して自信をつけたり、大切な経験をたくさんしてくる。友だちの影響を受けてできることもぐんと増えた。
うちはひとりっ子な上、自宅の前で適当に遊ばせておける環境でもないので、小さいうちは親がそれなりにお膳立てしない限り、友だちと「ごちゃごちゃとみんなで適当に」遊ぶことすらできない。そして自力でここまでの同世代間コミュニケーションの場を作ることは難しい。
こういう経験の場を持てたことが、息子にはとても効果的で、本当によかった。
これまで、子育ては夫婦でほぼどうにか対応してきたので、身内を含め、私は仕事で子どもを預けた経験がとても少ない。
保育園を経験していないし、最初は「仕事で預ける」という状況がちょっとばかり不安だった。大丈夫かなぁ、これでよかったのかなぁ、と。自分自身が専業主婦の母の元で育った記憶も軽い呪縛になり、邪魔をする。
でも今、学童に行く息子を見てすごく思うのだ。あぁ、「みんなで育てる」ってこういうことなのか。
学校のプールで真っ黒になり、すいか割りや遠足など学童主催のイベントに参加し……家で私が仕事の片手間で相手をしていたら、絶対に作れなかった楽しくて貴重な友だちとの時間がそこにある。
うん、これでいいんだなぁ。
息子の通う小学校では、同学年の半数近くが学童に行っている。それだけ仕事をしている保護者は多い。子どもが生まれても両親共に働くということは、もう、ごく普通の選択肢だ。
学童を利用し始めるまでは、仕事のために「預ける」というイメージが強かった。でも、これだけ大勢が利用し、子どもが貴重な経験を得ているのを見ると、「預ける」というのは何か違う気がしてきた。
保育園とか学童は、子どもを「共に育ててくれる場」であり、「子育てのパートナー」と考えた方がぴったりくる。
今は、「子どもは家庭で育てる」は子育ての前提ではなくて、こんな風に多くの社会的なパートナーを得て「共に育てていく」のがごく自然なことなのだろう。
主軸が家庭にあるのは変わりない。「預ける」という委託する関係ではなく、「パートナー」として積極的に連携して、一緒に育てていけたらいい。
学童というパートナーを得て仕事時間を確保した分、子どもとの時間は幼稚園時代よりはうんと減る。
息子に何らかのフォローやケアが必要だと気付いた時に、夕方からの限られた時間でどうカバーするかは相当苦労するし、夕方迎えに行って帰宅してからすべてをスタートして、極力早く寝かせるのはやっぱりかなり大変だ。
それでも、意外と去年までと比べて息子とのコミュニケーションの密度が下がったような気はしないから不思議だ。こういうのは必ずしも絶対的な時間に左右されるわけではないのかもしれない。
「学童に行かせっぱなし、仕事しっぱなし」の夏休みを過ごしていると、なんだかせっかくの夏休み、学童ばっかりでどうなんだろう、まずいかなぁ、と不安にもなる。ニュースで「夏休みっぽい」家族の映像が流れると、軽く焦る。
これは何か家族で「夏休みっぽいこと」をしないとまずいんじゃないか?と、勢い余って、急に完全子どもメインの日帰り旅を手配してしまった。私は普段、石橋をたたきすぎるくらいなのに、何か変だ。
去年までは、幼稚園の長い夏休みを持て余し、「仕事の時間が欲しい!」とばかり考え、「夏休みっぽいこと」なんてしようがしまいが気にもしなかったのに。
……どっち側にいても、結局、ないものねだり。やっぱり隣の芝生は青く見えるんだなぁ。
ぶれない「仕事と育児のバランス感覚、切り替えスイッチ」を持つって本当に難しい。
ここは頭を切り替え、日帰り旅の当日くらい、すぱっと仕事のことを忘れて存分に楽しんでくるとしよう!
【関連アーカイブ】
・理想の学童保育とは?小学生の放課後の過ごし方を考える
http://mamapicks.jp/archives/52087803.html
・2011夏、学童保育バンザイ
http://mamapicks.jp/archives/51773132.html
そんな感覚から一転、私はこの夏、初めて違う経験をしている。息子が小学生になって4月から学童クラブ(=学童保育所、以下「学童」)に入ったからだ。区の学童では、保護者が仕事をしている小学生(1~3年生)を放課後保育してくれる。夏休みは弁当持参で、朝から夕方までみてもらえる。

本当に助かる!
保育園から学童に移行すると、保育園より保育時間が短い点をどうクリアするか、という問題、いわゆる「小1の壁」にぶつかるそうだ。
私の場合、学童では少数派の幼稚園上がり。育児7年目にして遅まきながら「預かり保育デビュー」したので、逆にもう、ただひたすら助かる。
それまで、仕事は自宅でなので、幼稚園の短い保育時間をフル活用し、睡眠時間を削ってしのいでいた。でも、在宅でのこういう仕事の仕方はかなりきつく、夏休みなんて途方にくれる。だから、日中まともな時間帯にずっと仕事ができるなんて夢のようで、ありがたくて仕方ない。
同世代間コミュニケーションが豊富
学童では1~3年生が一緒に過ごす。3年生が1年生の面倒をよくみてくれて、兄弟姉妹のような環境が自然にできる。夏休み中は、宿題をして、学校のプールに行って、お弁当を食べて、遊んだり製作をしたりおやつを食べたり……。
その中で、自分の意見が通らなかったり、ゲームに負けてくやしい思いをしたり、皆の前で発表して自信をつけたり、大切な経験をたくさんしてくる。友だちの影響を受けてできることもぐんと増えた。
うちはひとりっ子な上、自宅の前で適当に遊ばせておける環境でもないので、小さいうちは親がそれなりにお膳立てしない限り、友だちと「ごちゃごちゃとみんなで適当に」遊ぶことすらできない。そして自力でここまでの同世代間コミュニケーションの場を作ることは難しい。
こういう経験の場を持てたことが、息子にはとても効果的で、本当によかった。
「みんなで育てる」ということ
これまで、子育ては夫婦でほぼどうにか対応してきたので、身内を含め、私は仕事で子どもを預けた経験がとても少ない。
保育園を経験していないし、最初は「仕事で預ける」という状況がちょっとばかり不安だった。大丈夫かなぁ、これでよかったのかなぁ、と。自分自身が専業主婦の母の元で育った記憶も軽い呪縛になり、邪魔をする。
でも今、学童に行く息子を見てすごく思うのだ。あぁ、「みんなで育てる」ってこういうことなのか。
学校のプールで真っ黒になり、すいか割りや遠足など学童主催のイベントに参加し……家で私が仕事の片手間で相手をしていたら、絶対に作れなかった楽しくて貴重な友だちとの時間がそこにある。
うん、これでいいんだなぁ。
「預ける」より「共に育てる」という発想で
息子の通う小学校では、同学年の半数近くが学童に行っている。それだけ仕事をしている保護者は多い。子どもが生まれても両親共に働くということは、もう、ごく普通の選択肢だ。
学童を利用し始めるまでは、仕事のために「預ける」というイメージが強かった。でも、これだけ大勢が利用し、子どもが貴重な経験を得ているのを見ると、「預ける」というのは何か違う気がしてきた。
保育園とか学童は、子どもを「共に育ててくれる場」であり、「子育てのパートナー」と考えた方がぴったりくる。
今は、「子どもは家庭で育てる」は子育ての前提ではなくて、こんな風に多くの社会的なパートナーを得て「共に育てていく」のがごく自然なことなのだろう。
主軸が家庭にあるのは変わりない。「預ける」という委託する関係ではなく、「パートナー」として積極的に連携して、一緒に育てていけたらいい。
子どもと一緒の時間は減るけれど
学童というパートナーを得て仕事時間を確保した分、子どもとの時間は幼稚園時代よりはうんと減る。
息子に何らかのフォローやケアが必要だと気付いた時に、夕方からの限られた時間でどうカバーするかは相当苦労するし、夕方迎えに行って帰宅してからすべてをスタートして、極力早く寝かせるのはやっぱりかなり大変だ。
それでも、意外と去年までと比べて息子とのコミュニケーションの密度が下がったような気はしないから不思議だ。こういうのは必ずしも絶対的な時間に左右されるわけではないのかもしれない。
やっぱり隣の芝生は青い?
「学童に行かせっぱなし、仕事しっぱなし」の夏休みを過ごしていると、なんだかせっかくの夏休み、学童ばっかりでどうなんだろう、まずいかなぁ、と不安にもなる。ニュースで「夏休みっぽい」家族の映像が流れると、軽く焦る。
これは何か家族で「夏休みっぽいこと」をしないとまずいんじゃないか?と、勢い余って、急に完全子どもメインの日帰り旅を手配してしまった。私は普段、石橋をたたきすぎるくらいなのに、何か変だ。
去年までは、幼稚園の長い夏休みを持て余し、「仕事の時間が欲しい!」とばかり考え、「夏休みっぽいこと」なんてしようがしまいが気にもしなかったのに。
……どっち側にいても、結局、ないものねだり。やっぱり隣の芝生は青く見えるんだなぁ。
ぶれない「仕事と育児のバランス感覚、切り替えスイッチ」を持つって本当に難しい。
ここは頭を切り替え、日帰り旅の当日くらい、すぱっと仕事のことを忘れて存分に楽しんでくるとしよう!
![]() | 狩野さやか ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。 |
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【関連アーカイブ】
・理想の学童保育とは?小学生の放課後の過ごし方を考える
http://mamapicks.jp/archives/52087803.html
・2011夏、学童保育バンザイ
http://mamapicks.jp/archives/51773132.html