乳幼児をもつ母親を対象にしたアンケートで、回答者全体の約6割がスマートフォンを所有していることが明らかになったのは、当サイトでも既報のとおり( http://mamapicks.jp/archives/52120586.html )だが、かくいう筆者もその6割の中に含まれ、息子と義母を除いた家族全員がiPhoneを所持している。


母が子守に来ているときは父に電話をして息子と話をさせる――スマートフォンで。
家族が全員集合すると、両親は今がチャンスとばかりに孫の写真を撮る――スマートフォンで。
3歳児がかっこつけて踊っているさまを動画に収めることだってできる――そう、スマートフォンならね。

ネット依存気味の筆者の父に至っては、来宅中もずーっとFacebookを見ているので、孫である息子は「その電話ボクより面白いの? くやしい!奪ってやる!」になるのも当然である。

「子どもとメディア」に関しては私たちが子どもの頃から繰り返し議論されてきたテーマであるが、つい先日、親としてそれを実感する出来事があったので書くことにする。

■いざと言うときの録画


自分の話で恐縮だが、筆者は大変なテレビっ子である。
テレビが好き、なんなら出たっていい。家族全体がそんな雰囲気だったので、食事中も寝るときもいつだってテレビと一緒。THE BOOMの『君はTVっ子』の歌詞は、耳が痛すぎてなんだか笑えない。
そして、テレビが好きすぎて、テレビ局関係のWEB仕事を数社転々として今に至る。

子どもがまだ0歳のころはCMの15秒単位が彼にちょうどよく、楽しんでいるようだったので見せることも多かったが、2歳を過ぎると、情報のコントロールは気になってくる。

「ニチアサがこわい……」

もう同級生はプリキュアだ、ライダーだ、という年頃である。つい先日も友だちが持っていたプリキュアの人形を見て、息子はぽかーんとしていた。そう、彼の中にその知識はない。

戦闘シーンを狭い家で真似されても困るし、玩具メーカーの方には申し訳ないが、何しろおもちゃは困る。番組の間に何度もインサートされるグッズのCM。あんなもん最終回間近にねだられた日にゃ、数日の命である。(どうせすぐ新しいライダーのグッズが欲しくなるのだから)

「買って!買って!」とおもちゃ売り場で駄々をこねる子どもたちの姿。泣きわめく子どもを引きずりながら歩くアレはできればやりたくない。周りの「あーあ」という視線も気になるし……。

そのような事情から、NHKのみを見せている我が家であるが、小児科に行くたびに見かける「テレビを子守にしないでください」という小冊子に心が痛むものの、保育園から帰ってきて家事をしているときなど、撮りためた録画を見せて待機させるのにちょうどいい。

「頼むからあと5分“コッシー”に夢中になってて!」というときはある。否定はしない。その代わり、ルールとして「食事中はテレビを消す」「お風呂から上がったらもうテレビは見ない」の2点を実行している。週の半分は夜間保育なので、帰宅後の総視聴時間は平均でせいぜい1時間弱というところだろう。

とはいえ、Eテレにだってキャラクターグッズは存在する。渋谷のスタジオパークに行くたびにそれが気がかりだったが、思いのほか息子がグッズを要求しない。

「ムテ吉(ポコポッテイト)のデッキブラシ欲しい!」くらいは言うかなと思ったが、親の想像の斜め上を行く、「ムテ吉みたいにジャジャジャーンってやるギターが欲しい!」というオーダーを受けたので、「これなら家に置いても美しいかな」という親のエゴ丸出しでウクレレを実家に頼み、誕生日プレゼントとして買ってもらった。

しかし、来年の今頃は親子ともどもすっかりライダーものにハマっている可能性もゼロではないだろう。たぶん、なるようにしかならない。

■「すぐ出せるからつい」の動画コンテンツ


ある日、息子が鼻歌を歌いだした。
「あたりまえ~あたりまえ~あたりまえたいそう~」

タイトル部分をすでに歌っているので明確にわかったのだが、どうにも音程と譜割がおかしい。すごくイライラする。出所が気になっていたのだが、のちに子守に来ていた母がうろ覚えのまま教えていたものと判明した。

「流行り物のネタをやらないで」という思いより、「その歌間違ってるよ!」のほうが気になってしまったので、YouTubeで公式動画を探してApple TVを使ってテレビの大画面で見せた。

これが、後日新たな展開を見せる。
息子が保育園で友だちを集めて「あたりまえ体操」を教えているというのだ。うちだけの話ならまだいい。よそ様のご家庭に迷惑をかけているのではないか!

そんな話をきいた日、帰宅するとは母は孫にiPhoneごと渡して、YouTubeで「あたりまえ体操」を見せていた。メインのネタのほかにいくつかバージョンが存在し、再生が終わると関連動画が出てくるので、次々と見られる状態になる。

もちろん、これはコンテンツ事業者側としては“大変すばらしいUI!(=ユーザインタフェース)”ということになるが、親としてはキリがないので、「まずはしっかりひとつのことを覚えろ!」という思いから(その前に「見るのをやめさせる」という選択肢を思いつかなかった)、「あんまりいろいろ見せないで」と母と息子の双方に注意したところ、「私のやることが気に入らないのね!」と母は機嫌を損ねてさっさと帰ってしまった。

……面倒なことになったなあ。

正直、母が来てくれないといろいろと支障が出る。しかし子育ての舵取りは親がやらないとどうにもならないから私が決めてもいいだろう。まあ、孫が喜ぶからと見せた気持ちもわかるのだが……。

夫と二人、心に重たいものを抱えたまま、次に母親が来宅する二日後を迎えた。こちらの取り越し苦労だったのか、何もなかったかのようにしてくれたので大変助かったが、YouTube問題は未解決のままだ。

これも、その後
 1.iPhone端末をそのまま見せるのではなく必ずテレビに映して見せること
 2.「あと1回見たらおしまいね」と制限を設ける
というルールを自分に課した

その後、諸事情からマイケル・ジャクソンにハマる息子なのであるが、「歌いたい!踊りたい!」という息子に対して、まったく同じような子どもだった私は反対する理由もなく(実母の手前「どのツラ下げて」という話になるし)、あれこれ機会を与えてしまった感は否めないが、食事のときも踊ろうとするのはどうにかならぬものか。
まあ、それはメディア関係なく、単に親の技量の話なのだが……。

■ゲームとアプリと私たち


子どもが2~3歳になるとできなくなることのひとつに、「家でパソコンを使う」というのがあげられる。こちとら仕事で使っているのだが、もしデータをうっかり消されたりしたらら大惨事だ。

子どもの前でもうひとつできなくなるもの。それは「家庭用ゲーム機(据え置き型)」。
我が家にはWiiが二台ある。結婚前にそれぞれ買ったのを持ってきたからだ。寒空の下、並んでまで買ったWiiだ。結婚ごときで処分するわけには行かない。

テレビ東京の10月クールでレトロゲームを扱ったドラマをやっており、見ると昔のゲームをやりたくなる。しかし、それらはWiiのバーチャルコンソールの中なのだ。
「いつやるの?」
「……ねえ。」

すると便利なのが、DSなどの携帯ゲーム機、そしてスマホやタブレットなのだが、子どもの目の前に出せば邪魔されるし、後者はそもそもボタンとタッチスクリーンでは操作性が異なるのでいまいちだし、先述のように情報リテラシーの低い子どもに端末を丸ごと預けては悪い側面しか浮かび上がらない。0~1歳のうちは子どもをあやすのに便利だったはずのものがある瞬間から天敵に化ける。これは、デジタルコンテンツで食ってる立場としては由々しき問題だ。

「子ども向けアプリにはテレビのエンドロールのように『おしまい』をつけて欲しい」
夏ごろにそんなネットの声を見かけた。録画物のように「もう一回」とねだられて、結局何度も……ということになりそうな気もするが、ないよりマシではないだろうか。

昔、PSPの『バイトヘル2000』というゲームで、指定された時間にならないと参加できない「地引き網」というのがあったが、たとえば一日一回しか作動しない、「007」のように終わると自動的に電源が切れてしまうなど、ある種の強制力を楽しめる要素があるといいとは思う。

フィルタリングとタイマー機能を搭載したアプリ「こどもモード パパママ・アプリ」(Android対応)を10月にリリースした株式会社スマートエデュケーションは、11/1付けで、教育関係者らと策定した「乳幼児の適切なスマートデバイス利用に関する『5つのポイント』」( http://smarteducation.jp/principles.html )を発表している。

この提言の中で、一日のスマートデバイス利用時間の目安について、「1日2時間以内」という回答があったが、往年の「ゲームは1日1時間」(高橋名人)のようにキャッチーなフレーズになると浸透するのでは?

もうこのご時勢、インターネットもテレビも何もかも排除した生活なんて、ファンタジーに近くなりつつある。我々が“テレビネイティブ”であったように、どの液晶画面を見てもスワイプするのが今の子どもたちだ。すでに存在しているものは仕方がないとして、なんでもかんでも「ダメ!」じゃなくて、どううまく付き合っていけるか。そこを、3歳児の親としても、デジタルコンテンツを作る側の一人としても考えていきたい。

ワシノ ミカワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在は日本テレビグループ・LIFE VIDEO株式会社のデジタルコンテンツ全般を担当。