朝採れ、産直、地産地消……こんな言葉にグッとくるようになったら、アナタも立派な大人の仲間入り。この世で一番の贅沢は、新鮮で美味しい野菜や果物、お肉をもりもり食べること。そこにまぁ冷たいビールがあればそれ以上言うことはありません。

生きることは食べること。
この無上の喜びはぜひ次世代にも伝えていきたいものです。

しかしこの東京砂漠に暮らしていますと、野菜がどこでどうやって作られているのか、お肉はどこからやって来るのか、なかなか身をもって経験するチャンスがありません。そこで、日頃から食に対して深い関心がある私は、息子を連れてこんなツアーに参加してきました。

題して、
「採れたて新鮮! JA邑楽館林のファーマーズマーケットに行こう!」


中年女性の心を震わせる、“採れたて新鮮!”の文字。なんとキュウリの収穫やソーセージ作りも体験できるツアーとのこと。さっそく遠足気分で行って参りました。

バスに揺られながら、野菜ソムリエさんからのレクチャーを受けるツアー参加者。野菜果物クイズやオススメレシピを聞いていたら、あっという間に今回のお買いもの場所である「JA邑楽館林ファーマーズマーケット“ぽんぽこ”」に到着!


私たちを出迎えてくれたのは、JA邑楽館林(=おうらたてばやし)のゆるキャラ、でんえんまるくん。麦わら帽子と首からかけた赤いタオルがオシャレです。でんえんまるくん、聞けば「邑楽館林の地から生まれた農業の妖精」で、口ぐせは「よかんべっ!」。

そして、「ふらっと農家を手助けしてまわることがある」とのこと。締切時に私のとこにも来て! こんなイイ子なのに、かの「ゆるキャラグランプリ」では、知名度不足かまだ上位にはランクインできていないようなので、ここはひとつ読者の皆さまの力でこの子を千葉のふなっしーならぬ“群馬のたてばやっしー”に仕立てあげようではありませんか。

さてさて、本ツアーならではの特典として、普通のお買いものではのぞくことはできないマーケットのバックヤードで、店長さんからお店のお話を伺いました。

ここJA邑楽館林では、なんと取扱い商品の50%以上が地元農家で作った直売品。この日も話を聞く参加者たちの横を大きなカゴに新鮮野菜をたくさん詰め込んだ生産者さんたちが忙しそうに通っていました。

しかし、地元のモノなら何でもいいわけではなく、厳しい製品チェックの元で、基準を満たしたものだけがマーケットに並びます。安全・安心を守るための管理がしっかりしていることは、JAファーマーズマーケットの大きな強みでしょう。


そしてお待ちかねの買い物タイム!
「買い過ぎちゃうからカートは無しにしよう」と、カゴのみを手に店内に入ったものの、開始10秒でカートを取りに戻ったことは言うまでもありません。広い店内に所狭しと並ぶ野菜、果物、加工品……「あれも、これも、あぁあっちも……」血眼になる母親にどん引きの息子。しかし彼も、「こんな野菜見たことない!」「お米で作ったパンだって!」と徐々にテンションが上がっていきます。

新しい野菜が並ぶたびに、「白菜が入りました!」と店員さんの元気な声が飛び交い、売り場は活気に溢れています。

地元の生産者さんが朝一番に運び込む野菜なので、新鮮なのはもちろん、POPにある「有用微生物の活用による健康な土づくりに取り組んで栽培したキュウリです」「生のままはもちろんお漬物にも最適」など、野菜に関する一言コメントも購買者にはありがたい心配り。

市場ではほとんどお目にかからない珍しい野菜もたくさんあるので、食べ方指南は嬉しいですね。イタリア茄子、ブルームキュウリ、バターナッツかぼちゃ……邑楽館林名物・ずっしり重たい白菜「邑美人」は帰りのことを考えて泣く泣くあきらめましたが、カゴは既に目いっぱい!

シャンゼリゼ通りを闊歩するお嬢さんのバッグからはみ出たフランスパンのように、エコバックからは見事に大根の葉っぱが飛び出してしまいました。お、重い!


お買いものタイムの後は、JA邑楽館林が誇るキュウリの収穫体験。
安心・安全な野菜づくりを目指して農薬をどのように減らしているか、新鮮な野菜を新鮮なまま都心へ出荷するための工夫など、生産者の方からのお話も興味深いです。

ハウスの中は摂氏40度に保たれかなりムシムシ。ここで長時間野菜の世話をするわけですから、美味しい野菜を作る生産者の方のご苦労が偲ばれるわ……としみじみしていたら、後方から「うまい!」という息子の声が。なんと、もいだキュウリにかぶりついていました。早速か! 「つるをハサミで切ったら水が垂れてきたよ」と息子。採れたて野菜のスゴさを体で感じている様子です。

場所を移動して、今度はミートセンターにてソーセージ作り体験。よくある“詰めるだけ”のソーセージ作りとは異なり、味付けや捏ねる作業も自分たちで行います。ここはひとつ息子の成長を見守ろうと思い自由にやらせたのが運のつき、大量のガーリックパウダーを入れたガッツリ男味のソーセージに仕上がっていました。でも、これ……ビールに合いそう……。


「直売所」から「ファーマーズマーケット」へ。オシャレに、利用しやすく進化した農産物直売所には、地元の“旬”が詰まっています。邑楽館林“ぽんぽこ”のようなJAファーマーズマーケットは全国に約2300か所。最近ではカフェやレストラン、市民農園なども併設されている店舗も多く、親子で一日楽しめるスポットとして人気だそう。

“食育”だけにとどまらない、美味しく楽しい“食農教育”を、ぜひ皆さんも体験してみては? 帰宅後は、採れたてキュウリに味噌つけてビールでお疲れさま……う~ん、よかんべっ!

JAファーマーズマーケット
http://www.ja-kizuna.jp/farm/store/
大地がくれる絆を、もっと。JAグループ(JAきずな)
http://www.ja-kizuna.jp/


西澤 千央(にしざわ ちひろ)西澤 千央(にしざわ ちひろ)
フリーランスライター。二児(男児)の母であるが、実家が近いのをいいことに母親仕事は手抜き気味。「散歩の達人」(交通新聞社) 「QuickJapan」(太田出版)「サイゾーウーマン」などで執筆中。