「あ、ごめん、今日夕飯いらなかった」
「えー、きいてなかったんですけど……」


こんなやり取りに心当たりはないだろうか。


筆者夫婦は、結婚前からGoogleで共有アカウントを取得し、カレンダーに予定をポイポイつっこんでおく運用をしてきた。

たまに予定を入れ忘れてどちらかが注意する、ということは起きたが、結婚式までのあのタイトなスケジュールも、出産に備えた通院予定も、だいたい何とかなってきた。
……子どもが生まれるまでは。

長男が0歳で保育園に入園すると、週3回は実家から私の親が来て、保育園のお迎えと私たち一家の夕食、子どものお風呂までを対応してくれるようになった。

私も夫も働いているので、それぞれに会社の会合が入ることがあり、夕飯がいらないことが3ヵ月に1回は起きる。私がカレンダーをチェックし、都度母に連絡しているのだが、それでもうっかり忘れてしまうことが頻繁になっていった。

そこで、両親も共有のグループに入れられないか試してみたのだが、Googleカレンダーの共有というのはPCで設定が必要なため、実はなかなかにハードルが高い。

そもそも、最初に自分のGoogleアカウントを作らなくてはいけない。

父は過去にアカウントを作成し、メールのほうは設定したことがあるのだが、インターフェースに慣れないせいなのか、どうにも使い切れておらず、予定は紙の手帳で運用している次第……。

母は手帳すらおそらく持っていないのではないだろうか。実家には茶の間に大きな壁掛けカレンダーがあり、マジックでそれぞれの予定が書き込まれている。


なお、両親のスペックとしては、どちらも1台ずつデスクトップPCを有し、それぞれがiPhoneを持っており、私たち夫婦とはLINEで頻繁に連絡を取っている状態。

Gmailは面倒くさくてLINEはラク……。
イマドキのOVER 60の気持ちとは、そんな感じなのだろうか。

■老若男女、予定の共有に悩んでいる


日常的に業務でパソコンを使い、会社のスケジュールはグループウェアで管理する生活を10年以上続けているせいか、予定のオンライン共有というものにさほど抵抗も困難もなかった。

しかし、周りのご夫婦に聞くと、みなさん意外とアナログな手法でスケジュール共有していることがわかった。

「いやあ、夫婦間のITリテラシー問題ってのがあるんだよ」
と友人は言った。

なるほど、たまたまITな仕事をしているワタシがPCを日常的に使い倒しているオットに出会えただけの話であり、年齢どうこうは関係なく「PC? 無理無理無理無理……」という層も存在する。


ある日、保育園から電話がかかってきた。
珍しいなあ、長男が熱でも出したのかと電話を受けると、
「すみません、お迎えにどなたもいらっしゃらなくて、どうしたのかなと思いまして……。」

ふぁっ!?
思わず変な声を出してしまった。

その瞬間、私は思い出したのだ。前の週に母が言った台詞を。

「次の月曜日、お母さんお休みするからね~。お友だちとご飯食べてくるね~」。

……完全に忘れていたではないか!

ああ、これはもう、両親とのスケジュール共有は必須だな。そう思った出来事のひとつであった。

■『TimeTree』を導入してみた


今年の前半、ネットで話題になった、とあるスケジュール共有アプリがあった。

【参照記事】
すごいよ奥さん! ツイート1つで話題沸騰 無料スケジュール管理アプリ『TimeTree』|週アスPLUS
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/319/319220/

夫に「このアプリどう?」ともちかけると、「ああ、あの“旦那さんが床に突っ伏したやつ”ね」と即レスが来たので、ネットの拡散力よ……!という気分になったものだ。

TimeTree
http://timetr.ee/dl/mp

さて、さっそくインストールし、まずは夫婦で使っているGoogleカレンダーをインポートする作業だ。


▲設定画面ではOSカレンダーのコピー、全体の色、通知設定などができる。
通知は個別にも設定できるが、用途を考えて、一括通知でいいという判断をした。


『TimeTree』上でGoogleカレンダーを共有したい場合には、すでにスマートフォン側でGoogleカレンダーをOSのカレンダーに組み込んでいる状態なので、「OSカレンダーをコピー」することになる。
つまり、Googleカレンダー側で予定を変更してもTimeTree側には反映されない。

しかし、
「この公共料金支払いの金額とか予定って別に見せなくてもよくない?」
「いっぱい予定があると『うわー!』ってなって、お母さんたち引くかもね」
などの理由で、コピーし終わった予定を半分ほど消したので、同期でなく、現状はコピーでいい面もあるだろう。

※ちなみにTimeTreeでは、共有はできないが端末に設定したGoogleカレンダーなどを利用する機能もある。


次に、カレンダーへの招待メッセージを送る。
今回の場合『家族』というカレンダーの“親”が私となり、共有したい相手を招待する形となる。
アプリの該当カレンダーへのリンクをメッセージで送るだけなので簡単だ。今回はLINEで各位に招待を送ることにした。


▲すでに夫の招待が済んでいるところ。
これから両親にメッセージを送る。



▲LINEのグループのトークにこの文面を送る。



▲Facebookなどに慣れている両親だったので、
数分後、プロフィール画面で名前や写真までセッティングしていた。


メンツもそろったところで、さっそくスケジュールを調整してみることにした。
予定に対してメッセンジャーの感覚でやり取りができる。


▲今のところ両親からメッセージが投げられることはないが、
こちらの問いかけに対して返事をくれるので助かる。
 


▲このように通知が来るので見逃さない。


■園児がいる家庭におけるスケジューリングの重要性


保育園などに通う乳幼児がいると、下半期というのはやたらと忙しい。

運動会、アート作品の展示、生活発表会、クリスマス会、その他いろいろ……。これでもかというほど立て込んでくる。
卒園を3月に控えた園児ならなおさらだろう。

今年、筆者の子ども2人が別々の保育園に通うこととなり、それらイベントのスケジュール管理は困難を極めた。

4月の段階で兄のほうは年間予定が出ていたので、まずそれをカレンダーに入れた。
続いて5月に弟が入園したので、そちらのスケジュールと照合すると、奇跡的に運動会などはかぶらなかったが、「敬老の日イベント」がバッティングしてしまった。

相談の結果、「運動会とかもあるし、赤ちゃんはまだわからないから、今回はお兄ちゃん優先にしない?」との理由で、祖父母は長男のイベントに顔を出すことにしたのだが、子どもが1人ではうまく回っていたものも、もう1人増えることで、とたんにトリッキーな予定調整を要求される。

参加人数が増えるほど調整が困難になるイベント幹事の気持ちがわかりはじめた。


そして今年は、5歳にならんとしている長男の七五三がある。

3歳のときにも写真だけ撮ろうと、写真館で袴をすすめたものの、かたくなにスーツがいいと主張。ホワイトシルバーの渋いスーツに身を包み、誰に習ったわけでもないのに、ソファーに横たわってポージング……。
親族一同、大爆笑の写真が出来上がったのだ。

「どうしても袴を着たくない」という長男に対し、2年かけて説得し、先日やっと本人が乗り気になった。このタイミングを逃してはならない。

そこで、さっそく予定の調整に入った。


▲イマドキの七五三とは早撮りが主流なのだろうか。
こんな時期に予約は取れないものだろうか……。


もしかしたら最初で最後かもしれない長男の袴姿、無事に拝みたい。

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さて、家族でのカレンダー運用もすっかり慣れてきた我が家である。今日もこんな予定確認が飛んできた。


▲この時期は納涼会などが職場で行われがちである。


通知も来るので確認しないということはまずないだろう。これでせっかく用意したお夕飯が無駄になることが少しでも減りますように……。

TimeTree
http://timetr.ee/dl/mp

ワシノ ミカワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。