ワコールでは、心身と環境や親子関係に大きな変化を迎える時期である“10歳”の女の子たちにスポットを当て、「10歳キラキラ白書」という形で、イマドキのアラテン(10歳前後)女子についての調査を実施、その結果を発表した。調査対象は、同社が運営する女の子の下着の悩み解決サイト「ガールズばでなび」の訪問者2,134名(うち10歳は274名)。


調査ではまず、ブラジャーの所有率についての質問をしており、9歳では31.9%、10歳で42.7%、11歳で55.9%と所有率が上がってくる一方で、非所有率は9歳(57.5%)、10歳(54.0%)、11歳(41.3%)と、ちょうど10歳の一年間で所有・非所有の比率の過半数が入れ替わることがわかり、まさに10歳の一年がカラダの変化の局面にあたる傾向にあることが明らかになった。なお、この傾向は生理用品の所有率においても同様であった。

次に、ブラジャーの購入状況についての質問では、「親と一緒に」買う10歳女子が79.3%と最も多く、「親や家族が買ってきてくれる」(21.6%)、「友達と一緒」(10.3%)と続いた(複数回答)。なお10歳ごろになると、あけっぴろげに自分の気持ちを表さなくなり、子どもがブラジャーの購入に関して「どう相談すればいいか?」と悩みがちとなるが、これに関して同社では、「親からのはたらきかけがのぞましい」と回答。親が子どものカラダの変化をきちんと見てくれているか、子どもはそれに対応しようとしてくれているかに関心を持っており、変化に気づこうとする親の意識が大事になるという。

また、10歳でのターニングポイントは友人関係にも表れていた。友達との「やりとり」でしているものについての質問で、10歳では「交換日記(交換ノート)」(61.6%)、「手紙」(54.0%)とアナログなツールが過半数を超える2トップであったが、11歳~14歳の回答では、「メール」(54.1%)、「LINE」(49.6%)が2トップに入れ替わっており、やりとりツールのアナログ・デジタル変換の過渡期が10歳であることも明らかになっている。

さらに、家族関係においては、いっしょにお風呂に入ることがある家族(複数回答)として「お父さん」を選択する割合は、9歳で32.5%、10歳で26.4%、そして11歳~14歳になると7.8%に激減。「お母さん」についても9歳(67.5%)、10歳(58.0%)から11歳~14歳では37.4%に減少、10歳でひとりで入る割合は72.8%となっており、ここでも10歳が家族との距離感や自立におけるひとつの基準になることが浮き彫りとなった。

今回の「10歳キラキラ白書」の分析に協力をした、法政大学教授で『子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗りこえるための発達心理学』(光文社新書)などの著書がある渡辺弥生先生は、10歳前後の時期にある母娘関係のあり方について以下のようにコメントしている。


「しだいに中学生に近づくに連れて、大半の子が、些細な自分の変化や環境の変化にとまどうようになります。難しいのは、親自身が人生の中年期になり、自分の生き方に戸惑い、気持ちが安定しないとき、そのイライラや身勝手さが娘に影響を与えてしまうことです。
まずは、理解者の存在が孤独を癒す大切さを信じて、娘の自立への戸惑いや不安に【傾聴】し【共感】してやりましょう。そのうえで、子ども扱いしないコミュニケーションを心がけます。危なっかしいところや強い反抗には、ただのダメだしではなく、親自身が一人の人間として誠実に娘と向き合い、きちんと具体的に伝えていくようにします。」

ワコールでは、「10歳のキラキラ白書」による調査活動のほか、さまざまな情報が取り巻く中で親世代との意識のギャップなどもある状況をふまえ、子どもたちとその親世代に対しても、正しい情報を届けていくことを目的として、2014年から「『10歳の未来』プロジェクト」に取り組んでいる。

10歳キラキラ白書2016|ワコール
http://www.wacoal.jp/girlsbody/oyanavi/10yearold_whitepaper2016/