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親になったから、見えるものがある。

コラム

離婚しても親はふたり ――共同養育の“シンカゾク”

約58%のシングルマザーの年収が200万未満であり、養育費をもらっている母子世帯は24.3%に留まるという日本。(※1)
※1厚生労働省『平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』より
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html


……おいおい、家父長制からはみ出すものに冷たすぎやせんか、養育費は義務じゃないのか?と疑問は山積み、暗澹たる気持ちになるが、今まさに離婚に踏み切りたい母親たちに必要なのは、思想でも批判でもなく、「子どもの心のケア」と「子育ての手」と「金」である。

そこで、子どものショックを少しやわらげ、父親と交流することで養育費を払ってもらいやすくなる手段に「共同養育」というのがある。
じつは我が家もこの方法を取り入れており、順風満帆とは言いがたくても“シンカゾク”メンバーがそれぞれ「ま、悪くないか」という運用になっている(……と思いたいところだ)。この記事ではそのあたりを掘り下げてみたい。


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書籍「世界少子化考 子供が増えれば幸せなのか」 ――幸福度が高い社会について考えてみる

1.30。去る6月に厚生労働省より発表された、2021年の合計特殊出生率(その年における15歳~49歳の女性の年齢別の出生率を合計した数字)だ。

6年連続で前年を下回り、出生数も過去最低ということで日本は少子化を更に超える「超少子化」の真っただ中にある。

近年、男性の育児休業の取得促進や幼保無償化など、子育て世代向けの施策に予算が投じられている。2022年4月から不妊治療が保険の適用対象となり、これまで自費だったものが原則3割負担となるのは大きな前進と言えるだろう。

一方で、私自身は少子化対策が講じられるたびに、「制度が拡充されても二人目を産む予定はない私には関係ない話だしな」と感じてもいた。その心理をまだ言語化できずにいる折に出会った1冊、「世界少子化考 子供が増えれば幸せなのか」(毎日新聞出版)は非常に示唆に富む良著だった。


毎日新聞の海外特派員が各国での少子化の現状をレポートするほか、多方面の識者へのインタビューを掲載している。

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男性育休取ったはいいが妻との温度差が露呈 ――「レベルの高い子育てを目指す妻」と「育休を取って満足する夫」


いっこうに広まらない男性育休。とうとう厚生労働省は事業主に対し、働き手へ取得を個別に働きかけることを法律で義務付ける方針を固めた。また、男性「産休」も新設されるということで、男性の育児参加に追い風が吹いているようにみえる。

では、実際の現状はどうだろう。夫婦の考えをまとめた資料をちょっと紐解いてみたい。

男性の育休取得に関するアンケート調査
https://univ.curama.jp/7033/
※「くらしのマーケット」調べ

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「逃げ恥」新春スペシャルに思う、「男らしさ」の呪縛のやっかいさ

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』が新年1月2日に放映された。2016年に放映された連続ドラマの続編スペシャル版。連続ドラマでは、津崎平匡(つざき ひらまさ)[演・星野源]と、そこに家事代行で雇われた女性・森山みくり[演・新垣結衣]の関係を、「契約結婚」という形で淡々とコメディタッチで描き、現代の夫婦のあり方にさまざまな問題提起をした。
【関連コラム】
ドラマ「逃げ恥」最終回に思う。今どき家事分担夫婦は『夫婦を超えてゆけ』!
http://mamapicks.jp/archives/52213550.html

nigehaji

【公式】逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!|TBS FREE
https://www.tbs.co.jp/muryou-douga/15096/15096_1044185_1000000814/


今回はこのふたりに赤ちゃんが生まれるという内容。妊娠から出産、最初の育児のスタート期が舞台だ。
<※筋に触れるので、これから観る方は視聴後に読んでください。>

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コロナ禍の閉塞感と環境変化で思い起こす乳幼児育児生活のあれこれ

2020年、今年は誰にとっても新型コロナの影響で生活が大きく外側から揺り動かされた感覚が強く残る1年だっただろう。行動は制限され、移動が不自由になり、気をつけるべきことが大幅に増え、身につけるものの常識が変わり、社会的なマナーが変化し、常に体調の変化に意識が向き、小さなことの判断にいちいち悩み、他人の判断と自分の判断の差に気持ちを向け、仕事や収入に何らかの影響が出て……。


そんな変化のまっただ中で、「あれ、これなんか久々の感じだな」……と、ふわっとよみがえった感覚がある。

「あぁ、乳幼児育児中の感じだ……」。

私が出産したのはもう14年前だから、そのまっただ中の感覚からは少しだけ距離をおいて思い返せる。

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小2息子、学校マシになってきたってさ ――学校に行きたくなかった息子のその後

コラム「小1息子、学校行きたくないってよ」を書いてから早一年。

これが掲載されたあと、意外なことにたくさんの方から、「じつはウチもそう」「分かる!」「寄り添い向き合うコツをやってみる」という感想をいただきました。いわゆる「行き渋り」の子はけっこういて、おもにに母親たちが思い悩んでいることを知ったのだ。

そこで今回は、小2となった息子に起こったこの1年のことをさらすので、何かの参考になれば幸いです。願わくば、お母さんたちの心の負担が少しでも軽くなりますように……。


さて。
集団登校の子どもたちが出発した後、息子と娘と私は今日も、手をつないで通学路を小学校へと向かう。去年は学校に行くことがイヤで、なおかつ「煮え切らない何か」を抱えて暴れていた息子も、到着は遅れるものの、今ではすんなり教室へと入っていく。

……などと書いてしまうと、さも子どもに寄り添ってきた風だがそうではない。
手つなぎ登校がルーティンとなった今も私は、「いい加減ひとりで登校してくれ!」と叫ぶ日はあるし、「ダルいな~。誰もほめてくれないし……」と思う。そのくせ、毎朝私たちを見ているママさんに「お母さん、エライ!」と褒められれば「いや、大したことなくて……」ともじもじしてしまう。

要は、息子も私も、葛藤を繰り返した果ての妥協地点にいて、そのバランスが今、たまたまちょうどいいのだ。この1年で私たちが培うことができたのは、「こんなもんだよな」と現状を受け入れる力(悪く言えばあきらめ)、そして共通の好きなコンテンツを通じて深めた友情と親子の信頼関係だった。

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きょうだい喧嘩「仕返しOK」で平和になった本当の理由

きょうだい喧嘩でよくきくのが、「上の子が作り上げたものを下の子が壊して喧嘩勃発」というもの。たいがい上の子は怒りに震えて下の子に手をあげ、親に止められるか、怒られるのが分かって手を出せず、泣き寝入りして場がおさまる。どちらにせよ、過ぎれば親はそこまで気にしないものでは。

我が家も例にもれず、下の子である娘は、上の子である息子がつくりあげたレゴの大作へ興味津々に手を伸ばし、壊す。別部屋でつくっても、親が止めても必ず壊す。私は無頓着だったが、兄は着々と妹へどす黒い恨みを溜めていったのだった……。

今回お伝えするのは、近年の子育てにおいてNGと思われるけれど、ウチに平和をもたらした兄弟げんかをおさめる苦肉の策だ。極限状態に達した息子の心へは、正論なんて響かなかったのである。

さて、先ほどの話に戻ろう。

労力をかけて築いたものを無に帰された息子は「元に戻せー!!」と娘へ真っ赤に泣いて怒る。白目をむいたまさに鬼の形相で、時には過呼吸のようになって殴りかかる。我が家では、炭治郎と禰豆子の命をかけて互いを思いやるきょうだい愛(※『鬼滅の刃』参照)とは真逆の、お互いを疎ましく思う肉弾戦が展開されているのであった。

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※画像はイメージです

数年前、あまりの息子の激しさに保健所に相談すると「上の子には『悲しいね』の気持ちに、下の子には『触ってみたかったんだねー』と寄り添って言動で表す」というアドバイス。……うん、そうしてきたつもりでどうやらあまり効いてない。いや、私がうまいことできないらしい。

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【映画『朝が来る』レビュー】特別養子縁組でつながる2つのストーリーが丁寧に寄り添うように進む

ちょっとここまで凄いとは思っていなかった。
静かな興奮とともに映画館を出ると手足が震えていることと、歯の根がかみ合わなくてガチガチ音を立てていることに気付く。
現在、全国ロードショー公開中の『朝が来る』は想像を絶するほどの快作だった。
映画『朝が来る』公式サイト
http://asagakuru-movie.jp/

不妊治療を経て、一度は子どものいない人生を決意したものの、特別養子縁組により男の子を迎え入れる夫婦の前に、生みの親である少女が現れる、というあらすじだけで「これはマストチェックのやつだわ」と映画の鑑賞記録アプリにマークしたのが数ヵ月前。

監督の河瀨直美氏は、是枝裕和氏、黒沢清氏、北野武氏と並んで海外での知名度と評価の高い映画監督陣、通称「4K」の1人。海外映画祭の常連でもある日本映画界のトップランナーが、このテーマにどう切り込むのか公開を心待ちにしていたが、気がかりなことがひとつ。上映時間が138分となかなか長い……。

尾籠な話で恐縮だが、妊娠してからこっち、トイレが非常に近く、普段から2時間以上ある映画を鑑賞するのは毎度怯みそうになる。10月公開作品でまだ見てないものをこなしてから行こうかなとも考えたが、公開直前に「これはすぐに見に行かねば」と優先順位が繰り上がった。

産んだ子どもを養子に出す14歳の少女を演じるのが、先日レビューを執筆した『星の子』で主人公の姉を好演していた蒔田彩珠さんということを知ったからだ。新興宗教に心酔する両親との確執や妹に対する包容力を見せていた彼女が、間髪入れず複雑で難しい役どころに挑戦ということで、公開初日に鑑賞する運びとなった。


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【映画『星の子』レビュー】主人公を包む、令和的?アップデートされた友人関係も見どころ

1年で一番過ごしやすいとも言えるこの季節、積極的に出かけたいのはやまやまだが、例年どおり出歩くわけにもいかず、自ずと足が向くのは映画館だ。緊急事態宣言が発令されてから劇場通いができなかった約2ヵ月間を取り返すべく、新作をチェックしているが、今年も洋邦問わず良作が多く、映画ファンとしては嬉しい限り。

折しも、『鬼滅の刃』劇場版の公開が始まったばかりで、家族連れで鑑賞してきたという人も多いかと思うが、同じくシネコンでひっそりと上映されている『星の子』を私からはオススメしておきたい。
映画『星の子』公式サイト
https://hoshi-no-ko.jp/

天才子役として名を馳せたものの、長らく学業に専念していたため、芦田愛菜さんが6年ぶりに実写映画主演という最初の触れ込みの時点では「へ~」という感じだったのだが、《新興宗教に傾倒する両親のもとに育った少女》という設定を聞いた瞬間、俄然興味を持ってしまった。

思春期に、某新興宗教団体による事件が相次ぎ、関連するニュースやドキュメンタリーなどをフィクション、ノンフィクション問わず見すぎてしまった名残なのか、カルト教団が出てくる映画やドラマなどのエンタメ作品に割と目がない。

元々ホラー映画好きというのもあるけれど、恐いもの見たさや好奇心もあるし、得体のしれないものに対しての畏怖もある。見終わったあとちょっと落ち込むかな?という想いもあったのだが、期待していたグロテスクさやおどろおどろしさよりも、安心や腹落ち感がより濃厚に残る、予想以上の超良作だった。


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80年生まれの私が見た、『82年生まれ、キム・ジヨン』

このところ、男女、子どもの有無に関わらず、友人たちと近況報告をしていると、毎回会話に上がるのが韓国のエンタテインメントの話題だ。

とくに、ステイホーム期間にK-POPのグループにハマった、運動不足解消を求めてダンス動画をお手本にエクササイズをしている、配信サービスでの連続ドラマ視聴をきっかけにお気に入りのイケメン俳優ができた、など友人たちの様子を見聞きしていると社会現象レベルでのブームを実感する。

筆者も韓国のカルチャーには長年関心があり、とくにドラマにハマった経験はないものの、何度か旅行したこともあるし、映画も大好き。先日も、楽しみにしていた『82年生まれ、キム・ジヨン』が公開になったところで早速鑑賞してきた。

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』オフィシャルサイト
http://klockworx-asia.com/kimjiyoung1982/

原作はチョ・ナムジュによる同名の小説で、韓国では130万部を突破する大ベストセラー。
イギリス、フランス、スペイン、イタリアなど世界各国で翻訳され、日本でも翻訳小説として異例の大ヒットを記録している。

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