「これぞ次世代の名作!」と思えるような素晴らしい絵本を紹介すべく、100人以上の絵本作家を取材した経験を持つ筆者が、独断と偏見からいちおし絵本作家にフォーカスする、「今どき絵本作家レコメンズ」。

今回のレコメンド作家は、スギヤマカナヨさん。現役子育てママとしての視点も活かしながら、多様なテーマでユニークな作品の数々を生み出している絵本作家だ。


『ぼくのおべんとう』『わたしのおべんとう』
作:スギヤマカナヨ(アリス館)

人気作『ぼくのおべんとう』『わたしのおべんとう』は、ページを開くとそのままお弁当、という絵本。『ぼくのおべんとう』には卵焼きや鶏のから揚げ、『わたしのおべんとう』にはサンドイッチやミートボールが入っていて、ページをめくりながら楽しく食べ進めていく。中盤でおかずを取り換えっこするシーンがあって、読み聞かせ会などでは2冊並べてふたりで読んで楽しまれているらしい。


ただ、この『ぼくのおべんとう』『わたしのおべんとう』がスギヤマカナヨさんの代表作(=その作家の特色を最もよく示している作品)かと問われると、なんとも答えに詰まる。

スギヤマカナヨさんの作品は、子どもの悩みを描いたもの、子育てママを応援するもの、親子のコミュニケーションを促すもの、さらには環境、食育……などなど、テーマがじつに多様で、簡単にひとくくりにはできないのだ。

その中からどの作品を紹介すべきか、今回はかなり悩んだのだが、その多様さを知っていただけるようなラインナップをお届けしよう。

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