南北に細長く、“足”のような地形が特徴の神奈川県川崎市。その川崎のサウスサイドに住み続けて40年。

名刺交換で、「あ、川崎なんですか? 私もです!」と声をかけてくださる人がいる。しかしよく聞けばその人の「川崎」とは、「武蔵小杉」だったり「武蔵溝ノ口」だったりするのだ。うううう。違う、そっちの川崎ではない!!

川崎の南側に住む人間にとって、「武蔵小杉」というのは憧れとちょっぴりの妬みと、なんというかコンプレックスをギリギリと刺激する町である。高校時代、武蔵小杉、通称「ムサコ」周辺に住んでいた友だちのなんとあか抜けていたことか。

ムサコの子たちは当たり前のように渋谷に行く。渋谷ですよ渋谷! 東横線というシャレオツな電車で、代官山とか渋谷とか一本で行けてしまう。当時、サウスサイドJKにとって渋谷はニューヨークと同じくらい遠かったものだ。

そんな武蔵小杉が最近さらにパワーアップしている。ちょっとやめてよ~これ以上サウスサイドと差つけないで~。折も引っ越しシーズン間近。最近「川崎への引っ越しを考えてるんだけど、武蔵小杉ってどう?」と聞かれることが多くなった私は、川崎の達人としてひとつ重い腰を上げることにした。

武蔵小杉とはいかなる街なのか。本当に住みやすいのか。それは私が長年こじらせてきた“ムサコンプレックス”を成仏させる意味もある。


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