『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』(渋谷直角 著/扶桑社)、最近話題のこの漫画、ご存知だろうか。

一部店舗限定で、表題どおり“ボサノヴァカバー”された『今夜はブギーバック』(歌:久保ミツロウ・能町みね子・渋谷直角)が付いてくるということで、予約して発売日にヴィレッジヴァンガードに急いだ。



90年代を思春期として過ごした世代で、なおかつ、ピチカート・ファイヴ、カヒミ・カリィ、フリッパーズ・ギターなんて名前を出したらグサグサ刺さるような方であればお勧めしたいのだが、読後数日は立ち直れなくなるかもしれない。

あの、壮大なモラトリアム感が漂っていた90年代の、「ほかとは違う私でいたい」「何者かになりたい私」というハリボテの「売れたい願望」。アレはいったいなんだったのだろうか。

過去を全否定して、「いやー、そんな時期もありましたよね、今は普通のお母さんやってますけど」というのは簡単だが、それはあなたや私の紛れもない青春時代のお話であるので、以下いろいろ、きちんと背負ったまま話を進めて行きたい。

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