息子の3ヵ月検診で出会ったお母さんが言った。

「毎日の『お世話』でもう寝不足で……」

ん? なぜ、この人は、自分のことなのに「お」をつけるんだ? しかも「世話」ってちょっとペットみたいだしなぁ……。

■「お世話」という言葉の非日常性


なんだか気になって、あらためて育児雑誌を見てみると、

「ここが知りたい、3ヵ月からの赤ちゃんのお世話!」
「シーン別お世話一覧」
「赤ちゃんのお世話グッズ」

なんと、「お世話」だらけではないか! そしてシチュエーションに関係なく、つねに「お」がついている。「お世話」は「世話」の丁寧/上品な言い方、というよりも、もはや「お世話」=「乳児を育てるための行為」の意。「オセワ」という独立した用語として使われているレベルだった。

おそらく、上品すぎる表現を意図的にずれた場面で使って、ちょっと「特別な」「お洒落な」「非日常的な」感じを演出したのが「オセワ」の始まりなんだろう。



今、育児は、こんな風に「オセワ」というラベルを貼られ、ちょっと特別で非日常的な側に位置付けられている気がする。

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